循環・呼吸・老年病内科

研究紹介

高血圧の温泉療法プログラム

65歳以上の別府市民1万人以上に対するアンケートを実施し、高血圧の既往の少なさに「夜間の温泉入浴」が関連していました。今回の発見は、温泉の有効な利用により高血圧発症の抑制だけでなく、健康寿命の延長や介護人口の減少に役立つことが期待されます。血圧上昇の原因は生活習慣(睡眠、食事、運動、ストレス、アルコール、喫煙など)がほとんどです。高血圧治療の目的は心血管疾患と腎臓疾患の予防です。高血圧症は生活習慣病の1つであり、生活習慣の是正により降圧効果があることが知られております。生活習慣の是正のみで目標とする降圧効果が得られることは少ないものの薬物の減量は期待できます。当院では本態性高血圧症患者さんに対し「高血圧の温泉療法プログラム」を確立する目的で臨床第II相試験を実施しております。目指しているのは「夜間の温泉入浴」で体内時計をリセットし、朝食で体内時計を再稼働し、睡眠負債を解消することです。(詳細はこちら)

高血圧の温泉療法プログラム(2023年6月19日大分合同新聞)

睡眠時無呼吸症候群の臨床研究

中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸患者で、かつ心血管疾患または糖尿病などリスクの高い疾患を合併している患者において、中等症群と重症群での予後の違い、また、その中で、特に非治療群と治療群でのイベント発生の違いを検討する事を目的に、前向きの登録研究を行っています。「中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸患者を対象としたCPAPまたは口腔内装置治療による心血管イベントの抑制効果を検討する前向きコホート研究」(許可番号30-442)

また閉塞性睡眠時無呼吸患者を対象として、本来循環器系疾患に悪影響を与えると考えられる、睡眠中の低酸素状態を示す「経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下」を指標として、重症と考えられる患者さんを対象にCPAP 治療を適切に実施した際、心房細動につながる可能性がある不整脈が改善するか確かめることを目的に前向きの登録研究を行っています。「夜間高度の低酸素状態を呈する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者での、十分な CPAP 治療が心房細動につながる不整脈を抑制できるかの検討AADHERE Study」(jRCT番号jRCT1072210122)